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浄土と天国 ~世の中安穏なれ 仏法ひろまれ~

浄土と天国 ~世の中安穏なれ 仏法ひろまれ~

私たち浄土真宗では、今生のいのち終わった後に生まれさせていただく仏様の世界を「浄土」とお聞かせいただいておりますが、天国と何が違うのでしょうか?
 世間一般でよくいわれる天国とは、ユートピアのような快楽の世界をイメージされる方が多いようです。(キリスト教徒が信仰する天国を除きます)
 
 仏教では天(天上界)という世界が説かれています。
 天は地獄や餓鬼道、人間の世界と並ぶ六道といわれる迷いの世界の一つで、自らの都合を思いのままに満たしていく神の世界です。
 地位や名誉や財産、人間の欲望を思いのままに満たしていく、その先には何があるのでしょうか?
 好きなものと嫌いなものを分け隔てし、損得や優劣をつけ、都合の良いものだけに囲まれ、都合の悪いものを排除する、そのような天の世界は結局、地獄を生み出す世界であるといえます。
 かの織田信長は第六天(だいろくてん)という欲の世界の頂点に上り詰めた魔王であると自称しましたが、今まさに信長のように思うがままに振る舞う者が、愚かな戦争を起していることを私たちは考えなくてはならないでしょう。
 
 親鸞聖人はご和讃の中で
「平等心(びょうどんしん)をうるときを一子地(いっしじ)となづけたり、
一子地は仏性なり、安養にいたりてさとるべし」とお示しになられました。

 浄土は一子地といわれる平等心をさとる場所です。好き嫌いや損得などの自分の都合の世界を超えて、一切を平等に見通し、全てのものを我がひとり子のように思う心。それを完成する所を浄土といいます。
 人間はどこまでも分け隔ての中でしか生きることができません。
 でもだからこそ、分け隔てを超えたさとりの境界から、南無阿弥陀仏の御名(みな)となり、あなたと共にあるぞ、引き受けているぞと私を呼び続けてくださっているのが阿弥陀如来です。
 お慈悲の中で、お互いを阿弥陀様のひとり子として尊重し、生きとし生けるものとの調和を大切にしながら、
「世のなか安穏なれ、仏法ひろまれ」との親鸞聖人のお示しを我が心として歩んで参りたいものです。 

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